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アンテナや太陽光の取り付け部からの雨漏り

アンテナや太陽光の取り付け部からの雨漏り

「テレビのアンテナを立ててから、しばらくして天井にシミが出てきた」「太陽光パネルを載せた翌年の梅雨に、二階の壁が濡れているのを見つけた」。設備を取り付けたあとで室内に水の跡が出ると、どうしてもその工事と結びつけて考えたくなるものです。実際、屋根の上に何かを固定する工事は、雨水の入口をつくる可能性がある作業でもあります。

とはいえ、取り付け工事をしたからといって必ず雨漏りするわけではありません。適切な部材と手順で施工されていれば、長く問題なく使われている住まいのほうが多いと考えられます。問題になりやすいのは、屋根の形状や下地の状態に合わない固定方法が選ばれていたり、防水処理が経年で性能を落としたまま点検されずに時間が過ぎていたりするケースです。

この記事では編集部の視点で、アンテナや太陽光発電設備の取り付け部から雨漏りが起きるときに何が起きているのか、症状の現れ方、気づいたあとの進め方を順に整理します。判断の材料としてお読みいただき、実際の点検や処置は現地を確認できる専門業者にご相談いただく前提でご覧ください。

目次

取り付け部が雨水の入口になりやすい理由

屋根は、上から下へ水を流し切るためだけに構成された面です。屋根材の重なり、その下の防水シート、さらに下地の板と、水を受け止める層が順番に重なることで雨をしのいでいます。屋根の上に物を固定するという行為は、この積み重なった層に対して、なんらかの形で手を加えることを意味します。

固定のために下地まで貫通させる方法がある

アンテナの支柱や太陽光の架台は、風で動かないだけの強度で固定する必要があります。そのため、屋根材を貫いて下地の木材までビスを打ち込み、そのまわりを防水材で処理するという方法がとられることがあります。この方法自体は一般的なもので、処理が適切であればすぐに水が入るわけではありません。ただし、貫通部は構造上どうしても弱点になりやすく、防水材の状態に性能が左右される部分でもあります。

近年は、屋根材を貫通させずに固定する金具や、既存の屋根の形状を利用して挟み込む工法も広く使われるようになってきました。どの方法が選べるかは屋根材の種類や勾配、下地の状態によって変わるため、一律にどれが正しいとは言えません。自宅がどの方法で施工されているかは、工事のときの書類や写真が残っていれば確認できることがあります。

防水処理は年数とともに性能が落ちていく

貫通部をふさぐために使われる充填材やパッキン類は、紫外線と温度変化を受け続ける環境に置かれます。年数が経つと硬くなってひびが入ったり、痩せてすき間が生まれたりする傾向があるとされています。施工直後にはまったく問題がなかった箇所でも、十年前後を目安に状態が変わってくることは珍しくありません。

また、金属の部材は日中と夜間の温度差で伸び縮みをくり返します。この動きが積み重なることで固定部にわずかなゆるみが生じ、そこから水が伝わる経路ができることもあると考えられています。設備そのものは問題なく動いていても、固定部だけが傷んでいるという状態はあり得ます。

アンテナまわりで起きやすいこと

テレビ用のアンテナは、風を受ける面積のわりに支柱が細く、強い風が吹くたびに根元へ力がかかりやすい構造です。台風のあとにアンテナの向きが変わっていたという話があるように、支柱には想像以上の負荷がかかっています。

支柱を屋根に直接固定している場合、その根元の防水処理が長年の揺れで傷むことがあります。支柱を支えるために張られたワイヤーの固定金具も同様で、屋根面に打ち込まれているタイプでは、その打ち込み部が入口になる可能性があります。強風のあとにだけ症状が出る、雨の量ではなく風向きによって濡れ方が変わるといった場合は、こうした固定部の状態を確認する価値があります。

すでに使っていないアンテナが屋根に残っているというケースもよく見られます。使わないまま放置された設備は点検の対象からも外れがちで、根元の傷みに気づきにくくなります。撤去する場合も、外したあとの穴をきちんと処理しなければ、そこが新たな入口になりかねません。撤去だけを安価に請け負う提案を受けたときは、撤去後の防水処理まで含まれているかを確認しておくと安心です。

太陽光発電の架台まわりで起きやすいこと

太陽光パネルは、屋根の広い面積を覆う形で設置されます。そのぶん固定点の数も多く、貫通工法であれば、それだけ防水処理を必要とする箇所が増えることになります。一箇所ごとの処理は小さくても、数が多ければ、どこかで劣化が先に進む可能性は高まります。

もうひとつ意識しておきたいのが、パネルの下は目視しにくいという点です。屋根材の割れやシートのめくれが起きていても、パネルに覆われていて外からは見えません。症状に気づくのが遅れやすく、気づいたときには下地が長く濡れていたということも起こり得ます。

また、パネルの上を流れた雨水は、パネルの端に集まって落ちます。もともと屋根が想定していなかった位置に水が集中することで、そこに落ち葉や砂がたまり、水の流れがせき止められることもあります。屋根の上の状態を確かめたいときは、屋根に登らず、点検を業者に依頼して写真で見せてもらう方法が安全です。屋根は勾配があり、濡れていれば滑りやすく、パネルの上に乗れば設備を傷めることもあります。高所での自己点検は転落の危険が非常に大きいため、編集部としてはおすすめしません。

症状の現れ方から読み取れること

取り付け部が原因の雨漏りは、必ずしも設備の真下に症状が出るとは限りません。水は下地の傾きに沿って流れ、思わぬ位置から室内に出てくることがあります。どのようなときに濡れるかを記録しておくと、原因の見立ての助けになります。

症状の出方記録しておきたいこと考えられる傾向
強い風をともなう雨のときだけ濡れるそのときの風向き固定部や立ち上がりの処理が影響している場合がある
雨がやんでしばらくしてから濡れる雨が終わってからの時間下地に含まれた水が遅れて出ている可能性
設備から離れた位置にシミが出るシミの位置と広がり方下地を伝って移動していることが考えられる
設置工事の翌年から症状が出た工事の時期と契約書の内容施工内容の確認をする価値がある
台風のあとから急に始まったその日の天候と被害の状況自然災害との関係を整理しておく

記録は難しく考える必要はなく、日付と天気、濡れた場所をスマートフォンで撮影しておく程度でも十分に役立ちます。実際の入口を特定するには専門的な調査が必要になることが多く、その方法については雨漏りの調査方法|散水調査・赤外線調査でわかることで整理しています。あわせて、屋根そのものの傷みが重なっている場合もあるため、屋根からの雨漏り|瓦・スレート・板金それぞれの症状と対処もご参照ください。

気づいたときの進め方

設備の取り付け部が疑われる場合、相談先が複数にまたがる可能性があるのがこの症状の難しいところです。設備を設置した会社、屋根を施工した会社、住宅を建てた会社と、関係する立場がいくつも存在するためです。

  • 設置工事の契約書、保証書、施工時の写真が残っていないかを最初に探します。
  • 設置から日が浅い場合は、まず設置した会社へ状況を伝えて確認を求めるのが自然な流れです。
  • 年数が経っている場合は、屋根全体の状態を見られる業者に点検を依頼する方法もあります。
  • 室内の被害が進んでいるときは、バケツや吸水材で受けるなど、広がりを抑える対応を先に行います。
  • 屋根に登っての確認は行わず、状態の把握は業者の撮影した写真で行います。

点検の結果によっては、設備をいったん外して屋根側の処置を行い、あらためて取り付け直すという流れになることもあります。その場合は工程が増えるぶん、費用と期間の見通しを事前に説明してもらうことが大切です。台風や強風のあとに始まった症状であれば、加入している保険の対象になるかどうかを確認する余地もあり、その考え方は火災保険は雨漏りに使える?対象になる条件の整理にまとめています。

同じことをくり返さないために

屋根に設備を載せている住まいでは、設備の稼働状況とは別に、取り付け部の状態を定期的に見てもらうという発想を持っておくと安心です。太陽光であれば発電量の点検はしていても、固定部の防水を見る機会は意外と少ないという話もあります。

点検の頻度に決まりはありませんが、屋根まわり全般とあわせて数年おきに確認しておくのが一般的な目安とされています。屋根の塗り替えや葺き替えを検討する時期が来たときは、設備の脱着も同時に計画したほうが、足場を二度組む必要がなくなり結果的に負担が軽くなることもあります。定期的な確認の考え方は雨漏りを防ぐ定期点検とメンテナンスの目安で扱っています。

まとめ

アンテナや太陽光の取り付け部からの雨漏りは、設備が悪いというより、屋根という水を流す面に固定物を設けたことによる構造的な条件から生まれやすい症状です。要点を整理しておきます。

  • 屋根を貫通して固定する工法では、貫通部の防水処理が状態を左右しやすい傾向があります。
  • 防水材は紫外線と温度差で硬化し、年数の経過とともに性能が落ちていくとされています。
  • 太陽光の下は目視しにくく、症状に気づくのが遅れやすい点に注意が必要です。
  • いつ濡れるかを記録しておくと、調査や相談の場で役立つ材料になります。
  • 屋根に登っての自己点検は転落や設備の破損につながるため行わず、点検は業者に依頼してください。

設備が関わる雨漏りは、原因の切り分けと相談先の判断がやや複雑になりやすい分野です。ひとりで結論を出そうとせず、設置時の書類をそろえたうえで、屋根と設備の両方を見られる立場の専門業者に状況を説明し、原因の見立てと処置の範囲、費用の見通しを具体的に示してもらうところから始めるのが、遠回りに見えて確実な進め方といえます。

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